インフルエンザの予防
毎年12月から3月にかけてインフルエンザが流行します。インフルエンザにかかると自分自身がつらいのはもちろんですが、まわりの方にもうつしてしまう可能性があります。今回のヘルシーライフを参考にして、インフルエンザを予防するよう努めてください。
1. インフルエンザとは
インフルエンザウイルスが感染して起こる病気をインフルエンザといいます。インフルエンザウイルスはA型、B型、C型に大きく分類されます。このうちA型とB型が大きな流行の原因となります。現在、国内で流行しているのは、一昨年に発生した新型インフルエンザA/H1N1亜型とA/H3N2亜型(いわゆる香港型)、B型の3種類です。
2. インフルエンザウイルスの感染経路
インフルエンザの主な感染経路は次の2つです(図1)。
(1) 飛沫(ひまつ)感染
インフルエンザウイルスに感染した人が咳やくしゃみをすることで、ウイルスを含む飛沫が飛散し、これを健康な人が鼻や口から吸い込み、ウイルスを含んだ飛沫が粘膜に接触することによって感染する経路を指します。
(2) 接触感染
インフルエンザウイルスに感染した人の咳、くしゃみ、鼻水などが付着した手で、机、ドアノブ、スイッチなどを触れた後に、その部位を別の人が触れ、さらにその手で自分の目や口や鼻を触ることによって、ウイルスが媒介されます。付着した部分のウイルスの感染力は数分間から数十時間持続すると考えられています。
3. インフルエンザウイルスの感染予防
(1) 他人との距離を保つ
最も重要な感染防止策です。飛沫感染を防止するため、他人との距離を1-2m以上保つようにします。また、人ごみにはなるべく近づかないようにしましょう。
(2) 石鹸と水で、手をよく洗う
本人および周囲への接触感染の予防効果があります。外出からの帰宅後、不特定多数の者が触るような場所(例:ドアノブ、てすり、つり革)を触れた後、咳やくしゃみなどのインフルエンザの症状がある人と接触した後には頻回に手洗いを実施することが推奨されます。石鹸と水で、手をよく洗いましょう。手のひらだけでなく、指の間、親指の周り、指先、爪、手首もよく洗います。洗った後は清潔なタオルなどで水分を十分にふき取りましょう(図2)。
(3) ワクチン接種を受ける
医療機関にてワクチン接種を受けることができます。接種してから効果が出るまで2週間程度要するため、12月中旬までに受けるようにしましょう。接種を受けたとしてもインフルエンザにかかってしまうこともありますが、その場合でも重症化を防ぐことが期待できます。費用は医療機関によって異なりますが、昨年の季節性ワクチンの接種費用は全国平均で3,122円でした(病院検索サイトQLife調査)。
4. 症状が出た場合
(1) 咳エチケットを行なう
咳やくしゃみがでる時に、他人にうつさないためのエチケット(咳エチケット)を行うことが大切です。
・ マスクを着ける
他の人への飛沫感染をある程度予防できると考えられています。使い捨ての不織布製(ふしょくふせい)マスク(薬局やコンビニエンスストア等で通常に購入可能。マスクが不織布製であるかどうかは、製品の袋に記載されていることが多い)が推奨されています。
・ 咳やくしゃみをする際は鼻や口を覆う
マスクを着けずに咳やくしゃみをする際は、できればティッシュを用い、かつ、顔を他の人からそらしましょう。ティッシュがない場合は袖口で覆うようにします。飛沫が他人に飛散したり物の表面に付着し汚染することを予防します。使用したティッシュは普通のゴミ箱に捨ててかまいませんが、他の人が触れないよう配慮しましょう。また、ティッシュを使用した後は必ずすぐに手を十分に洗ってください。
(2) すみやかに医療機関を受診する
インフルエンザの特徴的な症状として38℃以上の急な発熱と咳があげられます。また、関節痛やだるさなどの全身症状もよくみられます。このような症状が出た場合はすみやかに内科を受診してください。鼻やのどの粘膜を綿棒でこすって採取することで、15分程度でインフルエンザかどうか診断することができます。ただし、症状が出て間もないと感染していても陽性とならないことがあります。したがって、陰性の場合でも担当医のアドバイスを受け、症状が強い場合は翌日、再度検査を受けることを検討してください。
以上
参考情報: 罹患後の出社の目安
インフルエンザと診断されたら、他の人への感染を防ぐためにも、会社を休むようにしましょう。症状が治まってもしばらくはウイルスが排出されるため、他の人が感染する可能性があります。解熱剤(熱さまし)を使用しなくても38度未満の状態が丸2日を経過してからの出社が望ましくなります。抗ウイルス薬の使用の有無は問いません。使用している薬の内容は、医療機関や薬局からもらった説明書を確認してください。たとえば、月曜日の朝は38.5℃あったが、昼には37.5℃になった場合、火・水曜日と2日間自宅療養をして38度未満の状態が継続すれば、木曜日に出社することになります。解熱して3日目からは他の人への感染のリスクは極めて低くなりますが、咳やくしゃみが残る場合にはエチケットしてマスクの着用を心がけましょう。
(参考・引用)