近頃、鈴虫が鳴かなくなったと思っている方はいませんか。鈴虫の音色の周波数は3500Hz〜4500Hzといわれています。騒音性難聴の場合4000Hz周辺の聴力が低下しますので、鈴虫の鳴き声が聞こえない原因は、もしかしたら聴力の低下かもしれません。難聴の原因には、後述するように色々な原因があります。加齢による聴力の低下は避けられませんが、防ぐことのできる原因もあります。今回は、日常騒音に起因する騒音性難聴に目を向け耳を守る生活上の注意点を考えましょう。
1.難聴の原因
上記の表にあるように、難聴の原因には様々な原因があります。
1)中毒性難聴:
抗菌剤のストレプトマイシンやカナマイシン、利尿剤のフロセミド、抗がん剤のシスプラチンなどの副作用で聴力が低下することがあります。また、金属や化学物質の中毒が難聴の原因になることも考えられます。
2)物理的障害:
強大な音響や85dB以上の騒音に繰返しばく露することで、聴力が低下することがあります。
3)外傷性難聴:
耳や頭部の外傷が難聴の原因になることがあります。
4)その他:
老化や先天性の原因による難聴或いはウイルス感染、原因不明の疾患による難聴があります。糖尿病など生活習慣病が引き金になる場合、自律神経や心の病が原因になるケースもあります。
2. 街中の騒音レベルは
都会では人も多く車は混雑し駅では絶え間なく電車が行き交うなど、音が溢れている環境にあります。いったいどの程度の騒音なのでしょう。大まかな目安としてですが、列車が通過する時の高架下や電車の駅は100dB程度、パチンコ店で90dB以上、交差点・国道・地下鉄車内で80dB程度あると言われています。現代社会は耳にとって休息時間が少ない社会といえそうです。
3. 騒音性難聴を引き起こす因子
音を原因とする音響性難聴の原因には次の3つがあります。因子が重なれば、リスクが高くなります。
1)大きな音量
爆発音やコンサートなどで大音響のばく露を受けた場合、短時間でも聴力に影響を及ぼす場合があります。また、そこまでの大音響ではないにしろ、85dB以上の音量で長期にわたってばく露すると、騒音性難聴になるリスクは高くなります。
2)長時間のばく露
耳を休めることなく、長時間に亘って85dB以上の環境下にいた場合、耳への影響は大きくなります。パチンコ店内は90dB以上の騒音環境と言われていますので、防音保護具を使用せず2時間程度打ち続けると、難聴になりやすいといえます。耳栓を着用するなどして、耳の保護をしたいものです。カラオケなど音楽を楽しむ場合は、時々耳の休息時間をつくりましょう。
「音量と時間は控えめに」が、大事なキーワードになります。
3)高い周波数の音
音を聞くのに重要な役割を果たす内耳は、周波数の高い音によってダメージを受けやすいという特徴があります。高い周波数の音は空気中を伝わる間に弱くなりますが、ヘッドホンを使用した場合は弱まることなく耳に入るため、耳へのダメージが大きいといわれています。
4. ヘッドホン難聴
ヘッドホン難聴という言葉があります。言葉のとおり、ヘッドホンによる聴力低下を意味します。携帯型音楽プレーヤーが普及し、街中でも電車の中でもジョギング中も音楽を聞き続ける人たちを沢山見かけますが、ヘッドホンは騒音性難聴を引き起こす因子すべてを満たすリスクがあり、使い方には十分気をつけなければいけません。ヘッドホンやイヤホン自体が悪い訳ではなく、大きな音量で休むことなく長時間聴き続けると難聴のリスクは格段に高くなるということで、適切な使い方をすれば問題はありません。一般的には100dBの音を1日15分以上聴くと難聴になりやすいと言われています。ヘッドホンとイヤホンの違いは、耳にのせたりすっぽり覆うタイプがヘッドホン、耳に入れるのがイヤホンです。どちらも、過度な音量で長時間使用すればリスクは同じです。但し、イヤホンはヘッドホンと比較して密閉性が高く小さな音量でも迫力ある音で楽しめるため、耳に優しいと言われます。いずれを使用するにしても、ほどほどの音量に調整するのが肝要です。
ヘッドホン音量を調整する目安は次の通りです。
1)オープンエア型(通常タイプ)
静かな室内でヘッドホンを使って音を聴きながら会話ができる程度に音量を調節。騒がしい場所でも音量は上げない。シャカシャカと音が外に聞こえるのは、音が大きすぎる証拠。
2)クローズド型(音もれ防止タイプ)
片側のヘッドホンを外し、外したほうから聞こえてくる通常の話し声と同じくらいに調節。
5. 最後に
最初に言いましたが、難聴には避けられない原因と自らが意識することで避けられる原因があります。少し音量を下げ、耳に休息時間を与え、耳に優しい生活を送りましょう。
(参考・引用)