海外旅行の際の体調管理


 最近の円高や10月下旬の羽田空港の国際線増便により、海外旅行の機会が増えてきていると思われます。海外での生活はふだんとは異なる環境でリフレッシュできる一方、なれない食事、気候や文化の違いなどから体調をくずしやすくもなります。今回は海外旅行の際の体調管理について出発前、飛行機内、旅行先、帰国後に分けてお知らせいたします。

1.出発前

(1) 体調管理
 出発前にはあまり無理をせず、体調を整えるようにしましょう。特に虫歯など歯の症状が気になる方は、出発前に歯科を受診し、必要であれば治療をしておくことをおすすめします。海外で歯科治療を受けると医療費が高額であるばかりでなく、技術面で不安な点が多々あります。

(2) 携帯医薬品の準備
 海外では医薬品は入手困難であることも多く、あらかじめ日本から持参することをおすすめします。何らかの理由により帰国日が遅れる場合に備えて、定期的に薬を服用している方は、予定よりも多めの日数分の薬を持参してください。また海外赴任する場合には主治医と相談し薬を多めに処方してもらったり、赴任先に受診可能な医療機関がある場合は、情報提供書を発行してもらうことを検討しましょう。持病のない方も急に体調が悪くなった場合にそなえて、かぜ薬や胃腸薬、絆創膏、体温計などを準備しておくとよいでしょう。


2. 飛行機内
 4時間を超えるフライトの場合は深部静脈血栓症(いわゆるエコノミークラス症候群)になる可能性が懸念されます。ゆったりとした服装で搭乗する、弾性靴下を着用する(足首の圧力は15-20mmHgが望ましい)、フライト中には、きちんと立ってストレッチを行う、できるだけ1時間に1回程度機内を歩き血液の循環をよくする、足首や膝の屈伸により、ふくらはぎと太ももの筋肉をほぐす、足を組まない、フットレストを使用し、太ももやふくらはぎの圧迫を緩和する、水分を十分に取る(ただし、多量のアルコールやコーヒーは脱水になるため控える)などの予防対策を行うようにしましょう。通路側の席を予約すれば、気軽に移動することができます。


3. 旅行先

(1) 感染症
 発展途上国では感染症が問題となります。水を飲む場合は生水をさけ、ミネラルウォーターまたは湯冷ましに限りましょう。氷も生水から作られている可能性がありますので、注意してください。そのほか、生野菜や魚介類など生ものもひかえましょう。屋台などは衛生状態が悪いことが多いので、おすすめできません。

(2) 病気やケガをしたとき
 携帯した医薬品だけでは対応できない場合、現地の医療機関を受診してください。治療費の一部が後日健康保険組合より払い戻される可能性がありますので、治療を受けた際は必ず診療内容明細書と領収明細書をもらっておくようにしましょう。クレジットカードには海外旅行の傷害保険が付帯されている場合が多いですが、海外では救急車を含め医療費が高額な場合があります。あらかじめ保険の支払い限度額を確かめられたうえ、必要に応じて別途、海外旅行保険に加入されておくとよいでしょう。


4. 帰国後
 出張・赴任中に病原菌やウイルスに感染し、帰国後に発症する場合もあります。帰国して数日以内に医療機関を受診する場合は、海外に行っていたことを医師に必ず伝えるようにしてください。

                                                   以上